JIMTOFで見た製造業の自動化とAIの進化

JIMTOF2022日本国際工作機械見本市

JIMTOF日本国際工作機械見本市は東京ビッグサイトで2年毎に開催される、金属加工用の工具・機械・ITツールなどに関する展示会です。その規模は全ホールを使用する最大級で、今回は5日間に渡って開催されました。各メーカーはここに焦点を当てて開発準備しており、製造業最大の、言わばお祭りです。
第31回は少し前の2022年11月に開催されました。

私もJIMTOFには過去何十年も通い続けており、技術の進歩を目の当たりにしてきました。
が、今回はどうにも今までと違う印象でした。
ズバリ「自動化」です。
今までは「精度」「高速」「剛性」「低コスト」などが主だったキャッチフレーズ。それがめっきり姿を消しました。
代わりに、いかに24時間工場を動かすか?いかに素人でも可能にするか?
と、すっかり様変わりしていたのです。

ワーク・材料は自動交換。
ツール・加工工具も自動交換。
パレットやロボットを駆使し、真っ暗な無人の工場で24時間稼働を可能にする。
人間が関与するのは最小限のチェックだけを目指す。

こうなると、もはや我々現場職人は不要なのではないか?

自分にとって、この自動化の流れはかなり脅威に感じました。

自動化だけではありません。
人間と機械を結ぶ要素、UI・ユーザインタフェースも進化してきました。
今まではAR(Augmented Reality : 拡張現実)でモニター越しにサポート画像を映し出していました。ちょうどドラゴンボールのスカウターのようなゴーグルを装着しなければならなかったのです。しかしそれも3Dカメラで製品を認識させ、プロジェクションマッピングの要領で製品に直接画像を映し出すことでゴーグルが不要に。
指示は全て映し出される。製品だけでなく、使用する工具・部品、さらにはその順番だって3Dカメラで認識するから進行状況に応じて指示でできます。これなら作業オペレーターも違和感なく集中できるわけです。

こうなると、見方によってはオペレーター・人間側が、いよいよ機械に指示されて動くようにも見えてしまいます。

そして。
いよいよ昨今のAIの台頭です。

AIの進化は加速度的と見るべき

今はまだキャッキャウフフの遊びレベルでしか見てない人が多い印象ですが、AI・人口知能は間違いなく現代科学のゲームチェンジャーです。
今はイラスト、Excelのような簡単なものから、そのうち小説・アニメ・音楽など複雑なものまで生成していきます。

思い返せば、電気の単純なオンオフしかなかった世界にファジー制御という曖昧にコントロールする家電が一世を風靡したのが1990年頃。
そこから半導体も進化し、計算・センシングで何でも自由に制御できるように進化しました。
現代の究極はドローンや車の自動運転でしょうか。
産業革命からの歴史で見ると、30年そこらのあっという間の出来事です。

同様に、身近になりつつあるチャットボットも進化してます。
LINEや企業サイト、自治体サイトなどでも見かけますし、回答の的を外すことも減ってる印象です。

もしかしたら、そのままTwitterなどもAIボットのアカウントが人知れず大勢を占めるかもしれません。
いや、実は試験的にもうどこかに存在していると見た方が間違いないでしょう。

結果、ふと気が付いたらフォロワーのほとんどが実はAIボットだった!
な~んてことになる時代が来るかもしれません。

アニメキャラでアイコン化されたVtuberも増えました。
それもZ世代を中心に違和感なく受入れられているのも見ると、案外とAIボットの方が喜ぶ人も増えるのかもしれないですが(笑)

ちなみにこちら、AIのVTuberりんなちゃんです。

AITuberと言うのかな。
AIでコントロールしてるそうです。
こういうのが今後バンバン出てくるわけです。

製造業の行く末は

問題はここからです。

製造業・工場の自動化。
人工知能AIの進化。

この二つが合わさると、どうなるでしょうか?

簡単な仕事は、どこでも機械で無人で自動でやれるようになります。
つまり機械さえあればいいわけで、技術力ではなく資本力の勝負になります。

そうなれば、もちろん国も関係ありません。
機械さえあればどんどん作れるわけですから。

ちょっと具体的な話をすると、例えばですが

AM金属積層、いわゆる3Dプリンターが例えば1万台並ぶ工場があれば、量産が可能となり金型が不要!
1万台あったって、そのコントロールもAI君がバッチリ無駄なく計算をやってくれるんですよ!
しかもその工場は24時間の監視するだけの作業員が交代で10人くらいとか・・・?
っていう工場、できそうな気がしません?


とかなれば、ウチのような型屋は仕事がなくなるでしょう。
SFな話?
そんなアホな!と思います?
それとも現実になると思います?
もちろん、コストバランスがありますが、技術的に可能であればお金の問題はどうとでもなると思います。

ちなみにiPhoneのケース。
2012年頃に中国の鴻海がファナックのロボドリルを何百台?もっと?を輸入し、切削で製造しまくったのは記憶に新しいところです。

ますます混迷の時代になった

AIの進化は、まずホワイトカラーの職種に押し寄せ、工場の自動化は我々モノづくりに携わるブルーカラーにも押し寄せると思います。

AIの進化と工場の自動化が合わさるとどうなるのか?
さらには、世界的に戦争も起こってます。
資源の獲得競争は激化の一途です。
まだまだ混迷が続きそうです。

人間だからこそできることは何か?

自分は、ゼロからイチを立ち上げることがその一つと考えています。
AIも機械自動化も、どちらかといえば既成のコピーと組み合わせです。

まったく何もない、焼野原になってもそこから立ち上がることができる。これこそが人間の最大の魅力ではないでしょうか。

私は型屋ですが、こんな時代だからこそ様々にチャレンジし、生き残る手段を増やすことが次の時代につながると考えて活動しています。

GAFAMの全社が減益のニュースも流れてきました。
世界経済は景気後退なのか、それとも既得権益の崩壊、ゲームチェンジが起こるのか?

シンギュラリティという言葉もあります。
AIが人類の知能を超える転換点・技術的特異点を指します。

チェス、囲碁、将棋などもコンピューターが人間より勝るようになったので、少なくともこの分野ではシンギュラリティは発生したと考えるべきです。
同様に他の分野も間違いなく次々と変わっていくでしょう。

人間が機械の下と見るか。それともあくまでも支援機器とみるか。
考え方次第ですが、その中で「人間だからこそ」価値のある仕事は何が残るのか?

イヤな時代になったと思うか。
それとも、面白い時代になったと思うか。

「集中と選択」とはよく言います。
しかしこの混迷の時代、逆にトヨタさんのような「全方位」というのも有りなんだと思います。
ただ町工場レベルでは資源が乏しくそれも難しいですが。

そしてSDGsというワードも定着しました。
でも企業によってはただSDGsと言いたいだけで、その中身を見るとイマイチ。なんだか利用しているだけな玉石混交な状態にも見えます。
私も言うだけ番長にならないようにしなければなりません。
そして、真の意味でSDGsを考えて行動しないと、今後は生き残れないのだと思います。

せっかくなのでAIさんに聞いてみた

すいません、上のりんなちゃんは、所属会社が変わったようで今はBingのAIチャットと普通に呼ぶみたいです。

というわけで、上から順に
OpenAIのchatGPT
MicrosoftのBingチャット
OpenAIのPerplexity AI
の回答です。

そりゃね、機械がやってくれるようになった分、他の仕事しなさいな。という話です。
そうなんだけどねぇ。
ちなみに弊社のダイカスト鋳造は、特にメンテナンス修理などは機械自動化のハードルが高いので、そのあたりはまだまだ先だと思うのですが、果たして。

今回のブログは以上ですが、一つだけ経過報告です。
知育玩具の天秤、クラベランスは予想以上に微調整が続いてしまいました。
より完璧なものにするべく、最後の改造を施し中です。
色々とお待たせして申し訳ございません。
夏に販売を目指しております。


今日も元気に金型作ってます!